シンガポールの物価 2014速報!

シンガポールはもっとも物価の高い都市。これはイギリスの定期刊行物「エコノミスト誌」の調査機関であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が今年行った調査の結果です。

この国際物価比較調査では、ニューヨーク市をベースとして、140の都市の400以上の物やサービスの価格を調査しています。

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引用元:Channel News Asia

2013年に行われた同調査では東京がトップでしたが、2014年は、パリ、オスロ、チューリッヒ、そしてシドニーがシンガポールに続いてトップ5となり、東京はカラカス、ジュネーヴ、メルボルンと並んで6位でした。

10年前には18位だったシンガポールですが、以降徐々に物価が上昇してきました。

シンガポールの強い通貨、高額な車の価格と維持費、そして高騰する光熱水道費などがシンガポールの生活費を釣り上げた要因となっていると分析されています。また、シンガポールは服飾品のもっとも高価な都市としても知られています。

 では、シンガポールは暮らしにくい国になってきているのでしょうか?

 

車と自動車所有権(COE)

シンガポールでは車両台数の制限を目的として、1990年から自動車所有権制度が導入されて現在に至っています。新しく車を購入する際には同時に自動車所有権(COE)を落札によって購入しなければなりません。

入札制度なので、車を購入したい人が同時期に多くいればCOEの落札価格も高騰します。入札は5つのカテゴリーに分けて毎月2回行われています。そして直近の入札価格はインターネットで公開されています。

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引用元:One Motoring

例えば、ホンダのフィット(シンガポールでは「ジャズ」と呼ばれています)の新車を購入するとします。日本では150-180万円くらいでしょうか。シンガポールではS$118,900(約970万円)という驚きの価格が表示されています。その中身は、車両価格、物品税(車両価格の20%)、消費税(車両価格+物品税の7%)、登録料、追加登録料(車両価格の100%)、そしてCOE

これではどんなお金持ちが車に乗るのだろう、と思ってしまいますが、シンガポールの街を走ってみると高級自家用車がたくさん走っていることに驚きます。BMWやメルセデスベンツはもちろん、ベントレーやランボルギーニなどもよく走っています。

どうせ高いのだから、欧州の高級車に乗りたいという購入者心理なのかもしれません。車も家やクレジットカード、クラブ会員権などとともに、わかりやすいステータスシンボルなので、キャリアや社交サークルのスタンダードに合わせなければならないプレッシャーもあるようです。

一方、公共の交通機関は発達しており、車がなくても十分生活できるのもシンガポールの特徴です。地下鉄(MRT)やバス、タクシーもじわじわと値上がりはしているとはいえ、庶民にも安心の価格設定となっています。バリアフリー化も進んでいて、車いすご利用の方でも、問題なく移動できます。車に乗らないという選択も十分可能なので、ライフスタイルの選択によっては交通費の出費に大幅な違いが出てくるようです。

 

日頃のお買いもの事情

シンガポールに駐在に来られる家族の多くはコンドミニアム(高級マンション)に住んでいます。日本食はなんでも手に入り、日本語の書籍もあり、日本人小中学校もあるので、日本と変わらない生活を送ることも可能です。便利ですが、生活費は日本にいる時よりもかさんでしまいます。

先日日本からシンガポールに出張で出かけていた友人がオーチャード(シンガポールの目抜き通り)のデパートで服を買おうとしてその高さに驚いた、と話していました。日本のほうが安くていいものが買える、と。

また、シンガポールでレストランに入ってちょっとした食事をすると、二人で5千円から8千円ほどは軽くかかってしまいます。ビールやワインを飲めばもっと出費はかさみます。

では本当にシンガポールの物価は高いのでしょうか?庶民の暮らしはどうなっているのでしょうか?

シンガポールでは日系スーパーのほかにも、現地のスーパーや生鮮食品市場などで食品が手に入ります。同じものでも買う場所によって値段が違ってきます。またシンガポールの庶民の暮らす公共住宅、HDBフラットの多く建ち並ぶ地域では手ごろな値段で、食品、日用雑貨、衣服などが売られています。

シンガポールでは外食文化が根付いており、通勤途中に朝ごはんをコーヒーショップ(日本の食堂のようなお店)やホーカーセンター(屋台)、フードコートなどで済ませてから仕事に向かう方も多くいます。お昼ごはんはやはり外で。ホーカーセンターやコーヒーショップなら300円から500円で温かい食事ができ、エアコンつきのフードコートでも手ごろな中華料理、日本食、韓国料理、インド料理、マレー料理、など多彩な食事を楽しめます。シンガポール人は、「前と比べてすごく高くなった。」と言っていますが、それでもまだまだ手ごろな値段だといえるでしょう。

下の表は先述のEIUによる物価調査の結果の一部です。

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引用元:The Guardian

ここからもシンガポールの物価は有無を言わさず高い、というのではなく、生活必需品と嗜好品の価格設定が明らかに違う様子がうかがえます。

例えばパンの値段ですが、シンガポールは他の都市と比べてもリーズナブルです。ガソリンも高いイメージがありますが、東京と同じくらいでヨーロッパの都市に比べると安めです。

一方、ワインやたばこの値段は高くなっています。

ある駐在員の話によれば、高いといわれている光熱水道費も、日本と比べるとシンガポールのほうが安いということです。これは使い方にもよりますし、常夏のシンガポールでは、エアコンの使い方によって光熱費に大きな差がでます。エアコンのない家庭もまだまだ多く見受けられます。

 

広がる貧富の差

一番物価の高い都市とされるシンガポールは、一方で先進国の中ではもっとも貧富の差の大きな都市の一つとしても知られています。

天然資源のほとんどないシンガポールは経済持続、発展のために人的資源に頼るほかありません。多国籍企業の誘致にも積極的でそのために法人税などは低く設定しています。

さまざまな批判もありますが、ビジネスのコスト削減のため、ひいては国の将来のため、と政府は、最低賃金を設定しないという方針を今のところ変えていません。高級住宅街の大きな家に住み、専用のヨットやクルーザー、高級車を何台も所有しているお金持ちもいれば、公共賃貸住宅のワンルームに大家族で暮らしている方たちも多くいます。

次の世代にも影響を与える負のスパイラルとなりやすい貧困問題は深刻です。貧困家庭に育った子供たちはスタートから遅れをとるので、小学校でもついていけなかったり、中学へ進学できなくなることがあります。低学歴では高収入の仕事に就くことが難しく、日雇いや非正規雇用などが多くなり、体を壊してしまうとセーフティーネットもままならず、家族が今日食べていくこともままならなくなってしまいます。

また低賃金で雇える外国人労働者たちも多くシンガポールに出稼ぎに来ていますが、不当な扱いに不満を募らせ、2014年にはシンガポールでは珍しく暴動がおこりました。

発展する影で社会のひずみが深刻になりつつあるシンガポール。観光やビジネスなどいわば「おもて」の顔とは裏腹の「うら」の顔を探ってみるのも興味深いかもしれません。


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