バカンティ教授によるSTAP細胞論文の評価とは?

最近では疑惑とスキャンダルばかりがクローズアップされがちな「STAP細胞論文」騒動ですが、あのキーマンは今沈黙を守っています。

その人の名は、チャールズ・バカンティ米国ハーバード大学教授

渦中の小保方晴子氏のハーバード時代の指導教官であり、万能細胞の権威、そして今回のSTAP細胞論文では共著に名を連ねています。

同氏は、この騒動をどう見ているのでしょうか。

また、「教え子」の書いた論文をどう評価しているのでしょうか。

バカンティSTAP細胞
画像引用:Today’s Things.jp

 

「STAP細胞」騒動の経緯

まず、STAP細胞論文騒動の推移を追ってみましょう。

2014年1月28日、理化学研究所(理研)の発生・再生科学総合研究センター(CDB)小保方晴子氏を中心とするチームが、動物の体細胞にある種の外的刺激を与えたところ、胎盤を含む全ての細胞に分化できる能力を持つことが出来たと発表しました。

小保方氏らはこの細胞を「STAP(スタップ)細胞」と名付けました。

STAP細胞報道発表資料

30日には英科学誌ネイチャーにSTAP細胞に関する論文が掲載され、世界はこの発見に驚きと賞賛の声を上げました。

マスコミはこぞって小保方氏を誉め讃え、経済界はこの万能細胞がもたらす効果に期待し、現に株価が上がった会社もありました。

しかし、2月中旬頃からこの論文への疑問が出始め、2月17日に理研は外部からの指摘を受け、調査に着手したことを公表します。

翌18日には、論文を掲載した英科学誌ネイチャーも調査を開始します。

この動きに対して小保方氏のグループは3月5日にSTAP細胞の作製法を公開しますが、論文に対する疑念は止まりませんでした。

3月10日、若山照彦山梨大学教授や竹市雅俊CDBセンター長が小保方氏に論文撤回を勧めはじめました。

14日には、理研は記者会見を開き調査委員会の中間報告を発表しました。

小保方氏が発表した論文について、使われている画像や内容に改ざんやコピーペーストした疑惑があるとの見解が出されました。

この会見の後、25日にはさらに実験データそのものに対する疑念が出るなど、小保方氏に対する風当たりが強まっていきます。

4月1日理研は最終報告書を発表し、小保方氏が論文制作の過程で「捏造」「改ざん」を行ったとしました。

しかしながら、共著者である若山山梨大教授らの責任については、不正行為をチェックできなかったことについてのみとされ、ほぼ無罪放免にされました。

小保方氏一人に責任があるとのこの発表に、小保方氏側はすぐさま弁護士を通じての不服申し立てを発表しました。

また、理研側が「論文撤回に同意した」と説明していることについて、「撤回に同意した覚えはないし、するつもりもない」と全面否定しました。

 

そして4月9日、理研の主張に対してどう反論するかが注目されていた小保方氏がついに記者会見を開きました。

この会見で小保方氏は、「自己流」で論文を書いたために関係者に混乱を与えてしまったと謝罪し、STAP細胞については「200回以上作製に成功している」として存在を強調しました。

ただ、この会見では、期待されていた決定的な証拠が出されることはなく、小保方氏の弁明のみで終わってしまいました。

 

ここまでが騒動の流れですが、約2ヶ月近くに渡るこの間、バカンティ教授はどうしていたのでしょうか。

 

バカンティ教授による発言の推移

STAP細胞論文の発表を受けて、当然ながら当事者であるバカンディ教授のもとにコメントを求めるマスコミが押し寄せました。

「素晴らしい成果。仮説を証明するため科学的に極めて厳密な方法をとり、必要な仕事のほとんどをやり遂げた。昨年、日本に戻ってしまったのは残念だ」(1月30日付朝日新聞)

「ハルコがいなければこの研究は成功しなかった」(1月30日JNNニュース)

このように、小保方氏の功績を大きく評価し、賞賛をおくっていたバカンティ教授ですが、30日、自らのチームもSTAP細胞の実験を続けていることを公表します。

STAP細胞、サルで実験」(1月31日付日本経済新聞)

ここで、教授は、STAP細胞を使った実験を2011年から続けていると明らかにしました。

さらに5日にはヒトの皮膚細胞から作ったというSTAP細胞の写真も公開しました。

人で初のSTAP細胞か 米ハーバード大教授が写真」(2月6日付日本経済新聞)

しかし、2月中旬頃から論文に対する疑念が出始めると、それを払拭する発言を行います。
「『ささいなミス』と声明 STAP細胞論文で米大学教授」(2月22日付朝日新聞)

「STAP細胞、結論に影響せず 米共同研究者『編集でミス』」(2月24日付日本経済新聞)

 

論文への疑念に対し、3月5日小保方氏のグループがSTAP細胞の作製法を公開しましたが、多くの研究者の納得を得ることはできませんでした。

それだけでなく、グループ内部からも論文撤回の話が出始めます。

STAP細胞「確信持てず」 共著の教授、撤回呼び掛け(3月11日付朝日新聞)

しかし、これに対しバカンティ教授は呼びかけを一蹴します。

STAP論文、「撤回すべき理由ない」 共著者の米教授(3月11日付朝日新聞)

以降、現在に至るまでのバカンティ教授の発言をまとめると、

「論文を撤回すべきでない」

に尽きてしまいます。

ここまで書くと、バカンティ教授がいかに小保方氏の「STAP細胞論文」に対して高い評価をしているか、ということが判るでしょう。

と、なるところなのですが…実は、単純に「評価」しているのか疑問に思われる発言をしていたのです。

 

バカンディ教授の真意とは?

「まずはっきりさせておきたいのは、STAP細胞のもともとの発想は自分と弟のマーティンから出たことだ」 (3月22日付朝日新聞)

この発言は、1月28日の小保方氏の発表を受けて、朝日新聞が教授に取材した際に飛び出した言葉だといいます。

記事によると、教授と弟のマーティン・バカンティ氏は、2001年、極端な低酸素下でも生き延びる「胞子のような細胞」を発見し、これが病気や事故で失った組織を再生させる能力を持っているという論文を発表したということです。

しかし、当時在籍していた大学からは異端視され、ついには大学を追われた、としています。

この論文に書かれた細胞こそ、現在のSTAP細胞の元になっている、というわけです。

穿った見方をすれば、教授は、STAP細胞は自分と弟で発見したものであり、小保方氏らはその発見した理論を具現化してみたに過ぎない、と考えているのではないかと思われたりします。

さらに、日本のマスコミでは当時報じられませんでしたが、小保方氏らがSTAP細胞の作製法を公開した翌日3月6日、バカンティ教授は地元メディアの取材に対しこう答えているということです。

「実験の方法がこちらでやっているやり方と日本の著者のやり方が少し異なる」

「In an e-mail, Vacanti said that he plans to soon post a protocol for creating the stem cells — called STAP cells — on his laboratory website, and added that the methods posted by his Japanese coauthors are slightly different than the way it is carried out locally.」【Scientists work to repeat stem cell finding,The Boston Globe,Mar.6】

また、21日には研究室のホームページに、STAP細胞の「より効果的な作製法」を公開しました。

「STAP細胞、米教授グループが『効果的』な作製法公開」(3月21日付朝日新聞)

 

日本で議論されているものと自分達が実験しているものは違うものであるとでもいうようなこの動き。

一部には教授が小保方氏らと「距離」をおきはじめているとする見方もありますが、いずれにしてもここからは無条件で日本の「STAP細胞論文」を評価しているようには見えません。

ただ、現段階での論文取り下げは、これだけの騒ぎの後ですから、15年かかってようやく実を結びそうな自分達の研究を覆されることになりかねないと踏んでいるのではないでしょうか。

 

ここまで見てきて、結論をいえば、バカンティ教授は「小保方氏」の「STAP細胞論文」については、必ずしも全面的に評価してはいないのではないでしょうか。

自分達の研究の成果が出るまで何とか引っ張ってほしい、というのが本音ではないでしょうか。


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