ありのままで May Jと松たか子の違いは?

大ヒット中の映画「アナと雪の女王」。その主題歌「Let It Go ありのままで」が大きな話題を呼んでいます。日本語吹き替え版ではMay Jさんと松たか子さん(以下敬称略)の競作となっており、それぞれオリコンの1位と2位を分け合っている状況です。どちらも素晴らしい歌唱ですが、若干ニュアンスに違いがあります。

今回は両者の違いについて考えてみましょう。

 

May Jヴァージョン

映画のエンディングで流れMay Jヴァ―ジョン。もともとその歌唱力には定評のあったMay Jですが、本作でもとても素晴らしい歌を聴かせてくれます。

イントロは優しげな歌い回しから始まります。バックはギターとストリングスが中心で、大人しめですが少しずつ盛り上がりを見せ始めます。May Jの歌も少しずつ力強くなっていきます。ワンセンテンスを歌い終わった後の語尾でのブレス(息継ぎ)の入れ方など思わず聞き入ってしまいます。最初のサビに入るとテンポも出て、中盤の「私は~自由よ~」の部分などとても良い感じです。そしてサビ最後の「少しも寒くないわ」を少し投げやり気味に歌うことで、若干の不安をもっていることも表現しています。

そして曲はどんどん盛り上がっていき、最初は若干不安だった「ありのままで」あることに対して、強い決意を感じられる歌い方に変化していきます。その意れを支えるようにゴスペル風のコーラスが入り、大団円を迎えるといった素晴らしい感じです。

 

松たか子ヴァージョン

一方で松たか子のヴァージョンは劇中歌として使われています。松たか子はこれまで何枚もCDをリリースしてきていますが、こんなに歌がうまかったのかと再認識された方も多いのではないでしょうか。

May Jヴァージョンがギターとストリングスなら、松たか子ヴァージョンはピアノとストリングスです。最初は同じように少し大人しめの始まりですが、全体的にはどちらかといえばMay Jヴァージョンよりも力強い印象を受けます。もともと松たか子は役者さんなので、歌唱のテクニックをMay Jと比べるのはかわいそうなのですが、そんな技術的な問題を乗り越えた素晴らしい歌を披露しています。

最初のサビから力強さは全開で、「何も怖くない、風よ吹け」は迫力いっぱい、最後の「少しも寒くないわ」でも声のトーンは少し落とすものの、そこから不安はほとんど感じません。そのあとのアレンジも希望に満ち溢れた歌詞とあいまって、明るく前向きさを感じさせます。

しかしこのヴァージョンは最後に例の「少しも寒くないわ」のフレーズで突然終わりを迎えます。そしてその唐突な終わり方は、これから様々な問題が起こるであろうことを暗示するような余韻を残します。

 

2曲で1曲

結局この曲はこの2つのヴァージョン2つで1曲なのだと思います。松たか子ヴァージョンの決意表明の力強さと、その一方でトラブルを予感させる最後のフレーズ。そのトラブルを乗り越えたがゆえに感じる不安と自信、それとこれからも「ありのままでいい」という強い意志を表現したMay Jのヴァージョン。この2つの組み合わせがあってこそ、ストーリーが生まれ、そこに人の心を動かす「何か」が生じたのではないでしょうか。したがってこの曲は最初に松たか子ヴァージョン、次にMay Jヴァージョンの順で聴いてこそその深さがわかるということになります。

そう考えるとMay Jヴァージョン最後のゴスペル風コーラスも納得がいきます。ゴスペルはもともとアメリカ黒人の宗教歌ですから、人の心を救ったり、共感して支えたり、励ましたりする感じが出ますからね。

両バージョンともヒットしているので、人から「どっちが好き?」と訊かれることも多いかと思います。そういう時には「両方!」と答えるのが正解になるようですね。


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